utopiapartment

about something too important to be taken seriously

家にいる

長いお休みが取れるときには毎回どこかへ行くことが多かったけれど、今回のGWは17連休の休みを取りながら予定は空っぽで完全に自由だ。予定を立てようかという頃に新型肺炎の流行が話題になり2月末から在宅勤務が始まったので飛行機をおさえることすらしなかった。

 

わたしは子ども時代に7回くらい引っ越して、家を出てからは8回くらい引っ越した。そのうち3回は国を越えて引っ越しているし、休みのたびにカジュアルに旅行する家だった。旅をすることは時々服を買うっていうのと同じくらい当たり前の感じがする。子どもの頃は週末になるたびリュックを背負って東京駅から横須賀線に乗って、湘南へ向かった。電車を降りると車が迎えに来ていて、チャイルドシートに乗りシートベルトをするとスピード狂の祖母が”Hold on tight!”と叫んでとんでもない速さで車がビュンビュン走り出す。わたしはとにかく家に着くまでがっちり両手で前と横の取手につかまって、口をしっかり閉じていた。祖母の家に着いて車を降りると、いい空気を吸いなさい!と言われるので、よくわからないまま海と山の空気を吸った。

 

旅をすることに慣らされているだけで、わたしは熱狂的な旅好きではない気がする。「休みの間どこにも行かないなんて、大丈夫ですか?」と職場で心配されたのは休みのたびにわたしが旅行していて旅行好きだと思われているからだと思うけど、ずっと家にいられるお休みなんてむしろ本当は夢みたいだ。いつもなんとなく成り行きや習慣や目的があるから旅に出てしまうだけで、家にずっといろと言われたらずっといられる。どこかに行かないともったいないという気持ちを一切持たずに家にいられるなんて最高だ。おふとんにくるまって本を読んでいられたら、それ以上のしあわせはない。だからこの17連休も、どこにも行けなくてもそんな毎日でいい。